古いタイヤがダメだとか、減ったら交換すれば良いというのはなんとなくわかるけれど、ディーラーでの整備や車検の時に指摘されて交換する人は多いと思います。なので明確な交換時期を理解している人は意外と少ないと思いますのでタイヤの寿命と交換時期について整理してみたいと思います。
目次
摩耗、劣化したタイヤはとても危険
タイヤは自動車を支える唯一のパーツです。そのタイヤが悪くなったら車に悪影響を与えることは容易に想像できます。
タイヤが摩耗、劣化していると以下のような危険性があり、重大な事故につながる恐れがあります。
ハイドロプレーニング現象
よくハイドロと略されるこの現象は、濡れた路面を走っているときに地面とタイヤの間に水が入り込み、タイヤが浮いた状態になり、ハンドル操作やアクセル、ブレーキが全く効かなくなってしまいます。タイヤが摩耗していると、排水性能が低下するため、この現象が起こりやすくなります。
制動距離の増大
タイヤが摩耗していると制動距離が、新品タイヤに比べて長くなってしまいます。
上の実験では時速100kmのウェット制動距離は新品タイヤと2部山タイヤでは20m以上違います。これは一般的な自動車の4台分以上の距離ですのでいかに長い距離かがわかると思います。
このような状態では急な動物や人などの飛び出しの時にブレーキが間に合わないばかりか、スリップして事故をおこしてしまう危険性もあります。
バーストの危険
バーストとはタイヤが破裂することです。
タイヤの摩耗が進むとタイヤ内のワイヤーに衝撃がかかりやすくなります。その衝撃を耐え切れなくなるとバーストしてしまう恐れがあります。走行中に起こるとどれだけ恐ろしいことか想像つくと思います。
燃費の悪化
タイヤが摩耗、劣化すると制動距離が長くなってしまうと上で書きましたが、その他にもコーナリング性能の低下、タイヤ転がり抵抗の増加によって燃費が悪化してしまいます。
タイヤ交換の目安
目安としては大きく分けて劣化と摩耗が判断材料になります。
摩耗の限界
タイヤの溝が残り1.6mmになるとタイヤの溝がスリップサインと同じ高さになります。この状態になると車検に通りません。安全のためにも定期的にタイヤの溝をチェックしましょう。また、一緒にパンク防止のために、タイヤに異物が刺さっていたり、挟まっていないかを確認することをお勧めします。
スリップサインのチェック方法
タイヤの側面をサイドウォールと言いますが、そこに6か所三角のマークがあります。その延長上のトレッドパターン(地面と設置する面)の溝の奥に突起が見えます。それがスリップサインです。そのスリップサインが溝と同じ高さになるとタイヤを使うことは禁止されています。もちろん車検には通りません。6か所全て確認して、1か所でもスリップサインが出そうであれば速やかに交換しましょう。月一周期程度で確認することをお勧めします。
スリップサインを確認する際の注意は、タイヤ4本全て確認することです。車のタイヤは車種や使用方法によって4輪とも減り方が違います。一般的にFF車、4WD車は前タイヤが減りやすいなどの特徴があります。
勘違いしてほしくないのはスリップサインは、ここまでタイヤを使ってくださいというサインではありません。タイヤが半分くらいまで摩耗すると徐々に性能が低下していきます。
上の動画にある通り2部山でもウェットだとあれだけの制動距離の差が出てしまいますので早めに交換しましょう。
スタッドレスはプラットホームにも注意
スタッドレスタイヤにはスリップサインの他に、プラットホームという溝の深さを示すサインがあります。タイヤのサイドウォールに矢印がありますので、その延長上の溝にプラットホームがあります。
これは新品タイヤの1/2摩耗することを知らせるサインであり、これが溝と同じ高さになるとスタッドレスとしては使用できませんので速やかに交換しましょう。
但し、プラットホームが露出しても夏タイヤとしては使用することができます。夏タイヤと同じようにスリップサインがありますので、スリップサインまで使用することで出来ますが、夏タイヤよりドライおよびウェット路面の性能は低下します。
走行距離や年数はどれくらい経過したら交換?
あくまで目安ですが、夏タイヤで5年、冬タイヤで4年が使用の目安です。たとえタイヤに溝があったとしても、ひび割れや硬化などによってタイヤの性能が著しく低下するばかりではなく、バーストの危険性がありますのでタイヤショップに点検を依頼しましょう。
個人的にはある程度年数が経過したら、無条件に交換をお勧めします。理由としては前記の通り、年数が経過すると性能が低下しているのと、新しいタイヤは特にウェット性能や、低燃費性能が上がっている為です。
製造年月の確認方法
タイヤ購入したけど、何年使ったなんて忘れてしまう方は多いと思います。実際私もそこまではっきりとは覚えていません。というよりいちいち覚えてられません。
タイヤの使った期間を知る方法は、メモや記録しておけばいいのですが、実際それをしていなければ知る方法は有りません。
しかし、タイヤの製造年月を年月を知る方法は有ります。タイヤのサイドウォールに刻印されている4桁の数字がそうです。これはすべてのタイヤに刻印されています。
初めの2桁が週で、後ろの2桁が年です。上の画像だと「1617」ですので、2017年の16週に製造されたことがわかります。仮に5年使用すると考えると、2022年の春ごろに交換すればいいかなと判断できます。もちろん摩耗、ひび割れなどがあればその前に交換は必要です。
タイヤを長持ちさせる方法
カバーを掛けて保管
タイヤは紫外線、太陽光、化学物質によって劣化します。それを防ぐためには直射日光が当たらない場所にタイヤカバーを掛けて保管することが必要です。
急ハンドル・急ブレーキ厳禁
当然ですが、タイヤに負担がかかり、タイヤが早く摩耗してしまいます。安全運転の為にも車や、タイヤにやさしい滑らかな運転を心がけましょう。
キャンバーの付けすぎに注意
キャンバーが付きすぎているとタイヤが内側か外側だけが極端に早く減ってしまう、いわゆる編摩耗をしてしまいまいますので、タイヤを効率よく使用することができませんのでキャンバーの付けすぎには注意しましょう。
キャンバーを付けていなくても走行距離が多くなるにつれてタイヤの接地角度が変化していきますので、タイヤの長持ち、操縦安定性を上げる為にも定期的にアライメントを調整することをお勧めします。
ローテーションすることによってタイヤを上手に使用
タイヤは前後重量差、駆動方式、運転方法によってタイヤの減りが違います。その為タイヤをローテーションすることによって効率よくタイヤを使用することができます。
タイヤのローテーション方法は駆動方式、回転方向に指定がある場合によって異なります。FF車の場合は左前のタイヤを左後ろに、右前のタイヤを右後ろに、左後のタイヤを右前に、そして、右後のタイヤを左前にします。
FR車と4WD車の場合は左前のタイヤを右後、右前のタイヤを左後ろ、左後ろのタイヤを左前、そして、右後のタイヤを右前にします。
タイヤの回転方向に指定がある場合は、左前のタイヤを左後、右前のタイヤを右後、左後のタイヤを左前、そして右後のタイヤを右前にします。
ローテーションの周期
タイヤのローテーションは約5000km走行ごとに行うと効率よくタイヤを使用することができます。
SUV等の重量が重い車は編摩耗が起こりやすいので、定期的にタイヤの溝を確認して編摩耗があれば早めにローテーションしたほうが良いです。
異常を感じたら速やかに点検・交換を
タイヤは走行するにつれてただ摩耗していくだけではなく、駆動方式や車のタイプによってタイヤの減り方が違います。
また、紫外線などの外的要因によってタイヤが劣化しますので定期的にチェックして、異常があれば大変なことになりますので、タイヤショップに確認してもらうか、タイヤ交換をしましょう。